ある日の夕暮れ時、一人の男性が事前に富士登山の事を聞きに来た。これから準備をして、富士山に登った後、穂高に登ると言う。所謂、弾丸登山である。ルート説明から始まり、夜間登山の危険性まで一通りのことを述べた後、山の話をした。ここから穂高に登るには松本から入り、沢渡(サワンド)からマイカー規制のこと、上高地は良いところ等など。
小一時間ほどした頃、女性連れで先ほどの男がシャトルバスに乗るためにやってきた。その身なりを見ると様子がおかしい。ザックの上にはアルミシートを背負ったりしているが、どこかチグハグである。そのシートはどこで使うかと尋ねると、山小屋のそこら辺で使うと言う。要すれば、登山慣れしていないことが一目了然である。先ほどの上高地の話といい、本物の山男なら槍ヶ岳や穂高連峰に行くために名高い上高地を知らぬはずがない。少なくとも地図などから、それなりの下調べとか計画を立てて来ているはずである。
その日は台風後の影響で、夜間から翌日にかけて天気は良いものの南西風強めの予報が出ていた。本当に山好きな人なら、こんな予報で弾丸登山などしない。朝早く暗いうちに歩き始めることはよくあるが、まだ前日の20時に水ヶ塚でのことである。この時期、富士山しか登らない俄か登山者が多い。非日常的なことで、失敗や忘れ物が多くあり、怪我や事故も多い。
一方、指導センターとナビゲーターについて。指導などと言うが、山の経験が少ない通り一片のアドバイスでは説得力がない。天候の見通し・ルート説明・高山病予防など等、経験不足が直ぐに露呈してしまう。登山に限らず、失敗談を語れてこそ本物かも知れない。悪天時に於ける俄か登山者の装備不足とか弾丸登山者への説得等、それなりに気負って来ることもあってなかなか難しい。
3:30 感度3,200で撮影 5:09 山頂 日の出時刻 5:11 五合目 日の出時刻
8月までは、西日本の上空で高気圧の勢力が強く、台風は東日本から北日本を指向していた。9月に入って西日本の高気圧が弱まった影響もあり、台風12号は長崎に上陸し、山陰沿岸へと進み、今夜半には熱底に変わり弱まっていくものとみられる。東海上にある高気圧が頑張っているが、太平洋側も、晴れたり雨が降ったりの変わり易い空となりそう。
静岡県には3:30現在で、大雨・洪水警報が出されている。午前は晴れ模様で午後は曇り、15か18時頃から雨とは麓の予想。山には8時頃から雲がかかり、13か14時前後から篠坂辺りで降雨か。南風で雲底予想高度が600~800mでは、上井出から篠坂辺りに雨雲がまとまりやすい。
日本付近の大気の動きをみると、台風12号に流れ込む風は地表の影響を受ける。特に富士山周辺では、西側の南アルプス等により弱められるので雨は降っても風の作用は少ない。通常は進行方向東側の方がその影響を受け易いが、日本海の海水温が低いこともあって早めに熱低に変わるものとみられる。K.I
富士山頂の日の出時刻 5:09
五合目 5:11 (山体に遮られる時間は考慮していない)
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